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2019.08.12

『新しい風は、いつも地下から吹いてくる』 ~ モスインライラックの活動休止に添えて ~

『新しい風は、いつも地下から吹いてくる』 ~ モスインライラックの活動休止に添えて ~

 

 

 

30年ほど前、空前のバンドブームというのがメディアを席巻した。

ド下手で、リズムすらろくにキープできないようなバンドが、音楽の中身なども関係なくもてはやされ、身ぐるみを剥ぎ取られるようにして消費され尽くした。

まだ20代前半だった僕にも理解できるド下手バンドが、なぜ評価を得られたのか。技術や楽曲の力ではなく、メディアの空気そのものに煽られ、バンドの名が知れ渡ってゆく。

「所詮音楽とは、ショービジネスさ」

大昔、ソロになったばかりのポールウェラーが或るインタビューでそう話していた。

 

音楽とは、金の成る木だ。金さえあれば、バンバン広告打って、いくらでも制覇できる。

しかし、それは束の間の出来事で、継続は決してされない。

バンドブームがまさにその良い例で、脳のない、センスのないバンドはやっぱり淘汰されていった。

 

そんななかで、僕が東京に居た頃に記憶に残っているのは、Xとルナシーだ。

このふたつのバンドは、当時のライブハウスでも名を馳せた。

僕がアルバイトしていたレンタルレコード屋さんにもやはりバンドやってる方がいて、Xといっしょにステージに立ったと熱く語っていた。

自分のバンドとはまるで比較にならないほどの技術、演奏力、表現力で、足元にも及ばなかったようだ。

しかし、彼はそれを自分のことのようにとても楽しく話していた。

 

ルナシーについてもやはり僕がバイトしていた別のレコード屋さんで、追っかけをしている女の子(すごく可愛い:))がいて、やはり夢中になってバンドの良さを語っていた。

 

前者のバンドと後者のバンドの差は、血が通ってるかどうかだと思う。

上っ面だけで体裁よくコマーシャルに形成されたバンドと、小さなハコから叩かれて、のし上がってきたバンド。

どちらが本物かどうかは、僕がここに書くまでもなく、この現時点で結果は出ている。

 

もちろん、モスインライラックは後者にあたる。

モスインライラックは、この約6年間を走り抜けてきた。

ただ僕が知っているのはこの一ヶ月間程度のことであって、それ以前についてはユーチューブでしか知らない。

途中、メンバーチェンジがあり、現在のメンバーで固めるまで、おそらく大変だったと思う。

 

僕が今回撮ることになったのは、東京ビッグサイトのデザインフェスタで、マネージャーさんが僕の展示に足を止めたことだ。

マネージャーさんは、開口一番、こう言った。

『構図が違う』

 

僕の作品を見て、この一言を言うのは、美大生と広告会社関係、ギャラリー関係の方がほとんどで、バンド関係はいっさいなかった。

マネージャーさんは、『うちのバンド、撮っていただけませんか?』と丁寧に話された。

スマフォでモスインライラックのPVを観て、曲を聴き、普通にかっこいいと思った。

 

実はあまり報告はしていなかったけれども、ときどき、ビッグサイトでゴスロリ系の女子が僕の作品に足を止めてくれていた。

彼女たちはなぜかとても華奢で、色白であり、愛らしい。ぱっと見、被写体としては申し分ないのだけれども、なぜかそれ以上に僕からは踏み込めなかった。

 

僕はマネージャーさんと別れてから、もう一度、自宅でゆっくりモスインライラックの映像や楽曲などをチェックし直した。

僕のサイトを見てる方はご存知のように、この手のロックはいつも写真のテーマに合わせて採用していない。

僕の写真にはやはり合わない。なので、僕は撮影について辞退しようかとちょっと考え込んだ、ということはいっさいなく、ぜひ、やってみたいと思った。

 

僕は音楽とは音がすべてだと思っている。

PVなど他の飾りはいっさい要らない。

 

楽曲を聴いて、ピンとくれば関心を持つし、ピンとこなければまるで無関心。こんな状況で、

モスインライラックの音楽を僕は何度も聴いて1回目の撮影に臨んだ。

 

CDやストリーミングなどとは異なり、実際のライブはグルーブ感がまるで違う。

バンドのうねりというのは、そう簡単には生み出せない。

白を黒に変色する力。これはそう簡単には表現できない。場数がすべてを支配する。そのぐらい書いても過言ではない。

 

役人の机上の論理がクソに思えるのはここにある。

日常の退屈を、一瞬で塗り替えることができる。これがバンドの存在意義だ。

 

退屈でなければ悲惨な事故や事件は減るだろう、僕はずっとこの考えを根底に持っている。

だからこそ、アートは大切なのだ。

 

だれかの悲しみや痛みを拭い、楽しさや元気に変える。

これが音楽であり、アートだと真剣に思う。

 

 

2019年11月1日を持って、モスインライラックは休止する。

けれども、バンドのメンバーがそれぞれの意思を持って、活動し続けるようだ。

 

僕はこのバンドに関われて、とても光栄でした。

 

ライブハウス。ハコ。

ここからすべてが始まる。

 

昔、僕が知ってるミュージシャンがこう話していたことを今でも僕の胸に秘めている。

『新しい風は、いつも地下から吹いてくる』

 

僕がこのバンドを知ったのは、最後の数ヶ月だけれども、出会えて、ほんとうによかったと思っています。

ありがとうございました。

 

みなさんの今後の活躍に期待しています。

 

 

2019年8月12日 深夜。

 

Mitsushiro Nakagawa.

 

 

 

 

 

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